栂彦祭の一日

平成17年8月18日

提灯の設営作業です。日中は暑いので早朝より奉賛会の方々が設営を致します。

祭典は栂彦翁彰徳碑の前で行われます。いつもは四方神社の本殿にお祭りされていますが、この時だけこの彰徳碑が神籬(※ひもろぎ)となって栂野彦八翁の御神霊である四方建比古神(よかたたてひこのかみ)をお祭りする神様の依代(よりしろ)となります。

神籬(※ひもろぎ)古来より神霊が宿ると感じられた山・森・老木・岩石などの周囲に常磐木を植え巡らし、玉垣を結って神聖を保ったところ。

栂野彦八翁徳碑 碑文

志鋭気振。  こころざしするどく気振るう。

武夫後裔。  武夫の後裔なればなり。

杖剣殺身。  剣を杖つき身を殺し。

遂除昔弊。  遂に昔弊(※せきへい)を除く。

一郷之民。  一郷の民。

懐千鴻恩。   鴻恩(※こうおん)を懐(おも)う。

宜矣其人。   宜しきかな其の人をや。

享祀百世。   百世に享祀(※きょうし)さる。 

(※せきへい)長い間つもり重なった害悪。積弊とも書く。

(※こうおん)広大なめぐみ。大恩。

(※きょうし)神としてお祭りされ、お供えを受ける。


(意訳)栂野彦八翁は一度心に決めたならば果敢に実行する気概のある人であった。それはご先祖が武士でありその血筋を受け継いでいらっしゃるからである。短剣を我が身に突き、自らの死をもって長い間積もり重なった害悪を遂に取り除かれた。故郷四方の民衆は、その広大な恵みを今なお心に思い、その徳に惹かれ慕わしく思う。大変すばらしく、良いお方でありました。貴方の事績は代々の子孫に伝えられ末永くお祭りをお受けになることでしょう。
日が落ちていよいよ提灯に灯りが点ります。昼間ではわからない電球切れなどの交換が速やかに行われます。天候の心配や、お供え物の準備、電球の交換など何かと対処することが多くて忙しい時間帯です。

神様へのお供え物の準備も完了し、あとは時間を待つだけですが雨の心配がありますので気が抜けません。屋根がありませんので、すべて撤収しないといけないからです。

心配された天候も何とか持ちこたえ、祭典は無事に祭行されました。
本年は奉納落語として三遊亭良楽さんをお招き致しました。
四方踊りの奉納です。昔は二重、三重にもなって夜通し踊ったそうです。最近はめっきり少なくなりましたが今年も井本さんの歌に合わせ昔ながらに行いました。